銀河ぐらますガイド 造型分室

元プロモデラー・もこもこフジタの、やっつけ模型ブログ

2016年05月

DORAGONの1/9モデル、ファースト・アベンジャーこと、最初のアベンジャーズヒーロー、キャプテン・アメリカです。
定価で買うほどファンじゃないんですが、箱つぶれ商品が実売価格の半額ぐらいで買えたので、即購入しました。


まずは、このキャラについて少々。

ご存じのとおり、キャプテン・アメリカは、元々、そらもう、スーパーマン以上に
アメリカの愛国心を具体的に体現しました!!
みたいなアレですので、ちょっとこう、日本人的には受け入れにくい感じのキャラクターでしたので、日本では知名度の低いキャラだと思います。

しかし、先頃の映画「キャプテン・アメリカ / ザ・ファースト・アベンジャー」は、愛国心の塊みたいなデザイン、かつ、馬鹿馬鹿しい50年代デザインのキャプテンを、見事に現代風にブラッシュアップして蘇らせました。
元々は、第二次大戦の強化兵ですから愛国心バリバリなのは当然なのですが、その後、現代に蘇って正義のために戦うという設定ですので、日本人でも楽しめるデキです。
最初はコミックスで馴染みのあるデザインに近いミリタリー風のものから、だんだんデザインが現代風になっていくのも良かったですね。

私は、キャプテンはコミックヒーローの中でもそれほど好きではありませんでしたが、今の映画版のキャプテンはかなり好きです。
定価で模型を買うほどではないにしろ、相当に好きな部類です。
今の映画版のキャプテンが魅力的な理由のひとつは、スティーブ・ロジャースを演じるクリス・エヴァンスの、まさに「正義の人キャプテン!」という端正な顔立ちと演技ではないかと思います。
ともすれば馬鹿馬鹿しいキャラに、重くて繊細な演技で、見事に説得力を与えています。
まあ、昔のコミックのイメージでは、あんな細身な感じじゃないく、「ゴツいオッサン」ですけどねw
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▲ちなみに、昔はこんなイメージ。コレは1960年ごろにオーロラが出していたキャプテン・アメリカのキットの復刻版、発売はむろんポーラライツ。何がダサいって頭の羽根と白タイツだよなw
実はこのキットは金型流用ではなく、完全新作なのだ!!
オーロラのムーンバス同様に、元の1/10キットをデジタルスキャンして、1/8にスケールアップしているという、無駄に凄いキットだ。まあ、こんなスケールアップが必要だったのかは謎だが、おそらく他のマーベルキャラにスケールを合わせたのだろう。
新作オリジナルの顔も2つ付属し、水しぶきは透明パーツとなっている(オリジナルは不透明)。

さすがにポーズがアレなんで、コレは買ってません、オーロラは時々こういうのがありますw

その後、キャプテンはアベンジャーズ2作にも出演し、この記事を書いている時期に、単独主演の映画3作目「キャプテン・アメリカ / シヴィル・ウォー」が公開されています。
スパイダーマンやらアントマンやら、いっぱいまた新キャラが登場して楽しそうですね、批評も上々です。
ただし、この映画は、これまでの2作とはちょっと傾向が違います。
原作「シヴィル・ウォー」は別にキャプテンのコミックではなく、多くのヒーローが反目しあう話で、特に主役級のアイアンマンとキャプテンの両雄がメインで戦うというものですから、タイトルは「アイアンマン VS キャプテン・アメリカ」では駄目だったんでしょうかね。

さて、映画全ての作品で、コスチュームデザインが微妙に違います。
単独主演版のほうは、どっちかというと渋めのデザインで星条旗をあらわす腹部がなかったりします。
「アベンジャーズ」のほうが星条旗を入れて、ちょっとだけ派手目のデザインになってる気がしますが、これは「アメリカを守るヒーローチーム」を強調するためではないでしょうか。
で、このキットは映画「アベンジャーズ」の1作目に出てきたデザインを再現したものです。
ミリタリー版もなかなかイカすんで、欲しかったんですけど、ドラゴンからは出てないみたいです。


さて、今度は模型の話です。

キットに目を向けますと、キットというか、コレ、早い話が、プラモじゃなくて、ソフトビニールキットです。
いや、ハードビニールかな、要するに空洞ではなく、ほぼビニールの塊です
ぶっちゃけ、作るところ、ほとんどありません、手足や胴体組み合わせたら終わりです。

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▲パーツはこれだけ。あとドラゴンのキャラクターキット共通の円柱ベースが付属するだけで、実にシンプルです。
楯はプラスチックですが、なんか軟質プラです。キャプテンの大きな特徴のひとつは、この楯が「ブラッシュドメタル」のような質感になっていることだと思うんですが、残念ながらそこは再現されておらず、表面はツルツルです。
リューターなどで楯を回転させて、表面に小さな溝を彫り込めば、それらしくなると思うんですが、センター出しが難しそうなのでやってません。

DRAGONはアベンジャーズのキットをたくさん出していますが、いわゆる人間型のものは、ビニールが適しているので、このビニール製になっていまして、一方でメカのアイアンマンは、プラスチック製のキットになっています。
適材適所ということですね。
1/24でミニアイアンマンもたくさん出してますが、こっちは同じビニール製です。

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▲ドラゴンの1/9キャラクターキットに共通の円柱ベースが付属。アイアンマンのプラモなどにも同じものが付属する。それなりに高級感があって良いとは思うし、ベースが付属すること自体は歓迎、揃えれば共通感もあって良いと思うが、正直、ただの展示ベースなのは寂しい。簡易情景ぐらいつけて欲しいところ。なのでベースは加工しようと画策中。


このDRAGONのシリーズ、さすがAFVで培った技術でしょうか、他社を圧倒する緻密さと精度です。
メビウスモデルやポーラライツ、ペガサスホビーなんかの外国製キットばっかり作っていると、とても同じ時代のキットとは思えないぐらい差があります。
こういうの好きな人は絶対「買い!」です
アイアンマンシリーズの「カッチリ度合い」は感動的で、うっかり買ってしまいます。
見ている人はちゃんと見ているのか、一番格好いいアイアンマンMk32は、やはり定価ではすぐに売り切れてしまい、一番欲しいのに、いまだに買えてませんのよ(T.T)

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▲メーカーオフィシャルの完成図はコレ。見事なモールド、ポーズ。でもちょっと色が明るすぎかなぁ

とまあ、実にシンプルなお人形ですので、組み立て1分、パカパカ組んで塗装が勝負だね!
・・・と最初は思うわけですが、いざ作ってみると、それほど簡単じゃありませんでした。

というのは、コレ、軟質素材なんですけど、パーティングラインが全体に存在するんです。
ソフビといっても、ひとつの金型にパーツの断面から素材を流し込んでいるタイプではなく、ほぼムクで、分割金型なんですよ
軟質素材ですから、へたにペーパーをかけるとケバ立ってしまいます。

あと、文字で説明しにくいんですけど、こういうビニールムクの商品って、なんていうのかな、表面が薄皮みたいに剥けてくることあるんですよね、そこが穴ぼこになっちゃう。
経験ある人なら、今の説明ですぐ分かると思うんですけど、経験ない人には説明しづらいです、んーと、玉ねぎの皮みたいな感じを思い浮かべると近いです。
ペーパーをかけると、その現象が起きる部分が結構あったので、修正が大変でした、瞬着で埋めてます。
てわけで、なかなか、パーティングライン消しが大変、消す部分が少ないのが救いですが、作業自体はプラモよりよほど面倒でした。
とにかく、根気良く、荒いのから細かいのまで、順番にペーパーをかけては、サフェーサーを吹いて確認する繰り返しです。
かなり硬質のビニールなので、プラ用サフェーサーでもきちんと乾けば簡単には剥がれません。

追記:靴底なんかはスライド金型らしき風に側面にパーティングラインが入っていて、消すの凄い大変なんですが、あとで気づいたんですけど、よく考えたらゴム靴とか、実物の製品はパーティングラインがそのまま表面に出た状態で売られてるものがいっぱいありますから、あえて消さないでいい部分もあったのかも、と思ったり。

あと、気になるところは、せっかくのビニール素材なのに、なぜかプラモと同じように、逆テーパーの部分にはモールドが無かったり、あるいはモールドが甘い部分があるんですよね。
これは果たしてビニールである意味があるのか?
と思ったりもします。
どうも、分割金型に素材を流し込んでいるので、若干程度の逆テーパーなら素材に柔軟性があって抜けるけども、あんまりきつい逆テーパーは無理、ということのようで、同様に深いモールドも難しい、ということのようです。
なので、彫り込める部分はカッターとか駆使して彫り込んでやりました、なんせ軟質素材ですから、Pカッターとかケガキ針ではうまく掘れないので、カッターで彫り込んでヤスリで整える感じです、大変です。
モールドが甘いところなども、彫り込んだりエッジ立てたり、多少は手を入れました。

それと、パーツ同士は接着しなくてもがっちりハマるようになってますが、相当に力を入れてぐりぐり押し込まないとハマりません。
そのままでは、試し組みや塗装後の組み立てを繰り返すと、サフェーサーや塗装が剥がれそうでしたので、接合部はひたすらカッターで削り込んで、後から接着で止めるように、スカスカにしておきます。

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▲仮組してみたところ。見事なディテール。頭部がガタガタなのは、カッターで削り込んだから。マスクをスムーズにかぶせるために頭部を小さくしてるのだ。

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▲いいですね、すごく良いです。説明文によれば、どうも人力で原型を作ったわけではなく、映画に使ったCG用のコンピューターモデルから原型を起こしているらしい。汚い机だ。後ろにあるのはなんだろう?w


この後、塗装に入ったのですが、この頃は連日雨でして、かといって、そういつでも暇じゃないので無理して暇な時に塗ったらやっぱりカブってしまい、結局、一度全部塗装を剥がしなおすハメになりました(T.T)
なわけで、現時点、再ペーパーがけと、サフェーサー吹き中です。

先日、破損したコンプレッサーの水抜きを買い直したんですけど、あまり効果ないなぁ_| ̄|○

以上、今回はここまで。

前回も書いたんですが、このキットは、今住んでいる家を建てる前から作ってるので、いいかげん終わらさないとなぁ、と思って、やっつけ仕上げしました。

まー、正直、最後は
ものすごい、いい加減に仕上げた
んですけども、何度も
投げだそう
と思ったけど、ここまで作ったんでもったいないから仕上げたので、まあ、完成しただけよしとします。

そもそも、この狭い日本に、こんな酔狂なキットを作ってる人が何人いるんでしょう、というレベルですんで、完成してるだけで貴重ってことでw

といっても、数ヶ月前に、今回の記事の状態にはなっていたのですが
撮影が面倒臭いので、ずーっと放置になってましたw

なんで面倒かというと、前回の記事を読んだら分かると思いますが、でっかいので、撮影のために取り回すのが面倒臭いからです。

というわけで、とりあえず、完成したムーンベースアルファです、どん!(ワンピース風)
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本編画像の上半分と、今回の模型を合成してみました。

まあ、ぶっちゃけ、このキット、単なるモールドの乗ったパーツがゴロゴロ入っているのを、月の上に並べるだけです、シンプルです。
シンプルだけに、塗装、というか、ドライブラシで凹凸が生きてきますので、割と仕上がったところはユニークというか、見た目も楽しい感じがします。
やっぱりジオラマ風のキットはいいですね。
基地、って男のロマンだもんね

ジオラマといよりレイアウト模型に近いですけど、こういう、博物館とかにある、建物のレイアウトを表す模型、みたいなのって、見ると興奮しますもんね、しませんか? あれ? 私だけ?w

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前回書いたように、そもそもこのキットはでかすぎて、そのままでは置き場がないので、「壁掛けパネル」にする前提で作ってます。
で、普段の展示状態はこうです、壁から下がってます。
非常に写真だとスケール感が分かりにくいキットだろうと思いますが、周囲の状況から想像してください。

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全体のレイアウトが分かると思います。

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はっきり言って、模型用塗料で月面を塗ると、広過ぎて塗料代がかかりすぎてもったいないのと、月面がバキュームフォームでベコベコなので、塗料の剥がれる恐れがあるので、手元にあった食いつきのいいシリコン系塗料で塗り、ドライブラシしました。
若干、月面にしては色が濃すぎる気がしますが、ムーンベース本体もグレーですので、ムーンベースを浮き立たせるには、このぐらい暗めのほうがコントラストが効いていいだろう、という判断です。

ところで、なぜこんなにグレー系塗料がいっぱい余ってるのかと言えば
我が家最大の巨大ジオラマ(笑)
坪庭の擬石や灯籠を作ったときに塗装に使ったからですw
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これ。我が家のお風呂から見える光景。
この岩や灯籠は、全部「フルスクラッチビルド」です(笑)

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余談ですが、これは「建築」ではありますが、私が生まれて初めてこんなものを作って、ちゃんと作れたのは、間違いなく「模型のノウハウ」をそのまま大きくしたからなので、いずれ模型の一部として記事を本家から転載したいと思ってます。
スタイロフォームでおおざっぱな形を作り、セメントでコートしてます。
ポリパテコートと同じです。
で、ドライブラシやウォッシングも同じです。

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イーグルが余ったので、基地に向かうような感じで展示してみました。

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全然スケールわからないと思いますが、指から推測してください。
指は小指です、実質、イーグルは全長1センチちょいです、塗るの地獄です。

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前回触れたように、旧キットではランチパッドの形状がおかしいのが、今回の再販時に新規金型で修正され、オーバースケールだったイーグルも新規金型で小さくなってます。
同時に、パッドの表面は新規デカールで表現されています。
ただ、新部品と旧部品のクオリティの差がありすぎて、ちょっと不自然です。

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劇中ではランチパッドの十字形の赤い部分がエレベーターで上下して、イーグルが格納されます。
そのエレベーターはないので、切り抜いて、再現してみました。
なんせ赤と黒の部分がデカールで再現されますので、デカールのラインにあわせて切り抜く必要があり、うまくあうかドキドキもんでしたが、なんとかうまくいきました。

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変化をつけるために、噴射で浮いてるイーグルもつけてみました。

ところで、正直、このキット、全体にあっさりしているのに、ここのデカールだけディテールが緻密で、なんか浮いた感じがするんですけど、実はドラマの映像自体がそんな感じの「違和感」です。
というのも、この部分、特撮の撮影でよく使われていた手法が、ムーンベースのミニチュアの写真を撮影して、それを巨大なパネルに印刷し、ランチパッドの部分だけパネルをくり抜いて、カメラの前に置きます。
そのパネルのむこうに、ランチパッドの大きなミニチュアを、ムーンベースの写真のアングルと全く同じ角度、切り抜きにピッタリはまるように置いて、イーグルやエレベーターを動かしながら撮影してます。
パネルの穴から向こう側にあるランチパッドが見えるので、あたかも巨大なムーンベースのランチパッドからイーグルがエレベーターで上がってくる、みたいに見えるわけなんです。
合成じゃなく、アイディアの勝利である一発撮影なんです。
そういうわけで、ランチパッドだけ緻密な撮影用モデルを使っているから、なんとなくそこだけ浮いて見えるんですね。
といっても、そのことがハッキリ分かるのは、最近のBlu-Rayなどで画質がクリアになったからです。
BDで見ると、ムーンベースが写真なのも分かりますが、昔のテレビの解像度ではそれで充分だったんですよね。

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暗く見ると、結構いい感じです。

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暗いといえば、ライティングですが、とにかくひたすら建物の側面にピンバイスで穴をあけ、光ファイバーを通しました。
長めに建物から端っこを突きだしておき、全部の塗装が終わった時点で、根元から切り落とすと、丸い断面が見える次第です。
気が遠くなるぐらい本数が多かったのですが、ぶっちゃけ、失敗してます、LEDの光量が強すぎて、プラ透けてます(笑)
なぜ、こんな初歩的な失敗をしたのかというと
あんまり長い間放置してたので、テスト用電池がいつのまにかヘタっていて、製作中に確認した時は光量が弱かった
からです(笑) マヌケ。

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せっかくなんで、アクリル板でネームプレートも作りました。
ロゴはネットから拾ってきました。
裏面に磁石を貼ってあり、電池ボックスの部分に貼り付く次第です。

まあ、正直、アレな仕上げでしたが、こういうキットは眺めていて楽しいですね。

このキットをいじっていて気づきましたが、劇中でのセット描写と基地のレイアウトがすごく矛盾している部分が多いですね、このドラマ。


ところで、これ、こんだけ言っておいてアレですが、一応は一段落しているものの
まだ完成じゃありません。

そうです、前回触れたように、このキットには司令室のジオラマが付属しているのです。
その部分は、いまだ製中なのです。

というわけで、まだ続きますw
いましばらく(おそらく、「しばらく」と書いて数年と読む)おつきあいくださいw

久々にジジイ談話でぃす(笑)

割と何度も、このブログで、模型メーカーの「オーロラ」について、簡単に触れているんだけれど、よく考えると、一度もちゃんと、オーロラのことを書いたことがありませんでした。

まあ、「分かる人には分かるだろう」的な話だという認識もあるので、あえて説明してなかったところもあるんですけど、
今後も頻繁にオーロラオーロラ言うと思うんで
ここらで、一度、ちゃんと書いてみようかと思います。

オーロラに対する思い入れは、たいてい、みなさん、子供の頃の刷り込みに起因するんだと思うんですが、世代によったり、出会い方によって、色々あると思います。
そういう個人的な話はまずさておき、一般論として説明をすると
1950年代から模型を発売し、77年に活動を停止した米国の伝説の模型メーカー
です。

はい、この
伝説
というところがミソですね。

オーロラは主に、コミック、SFやホラー映画のキャラクター、ヒストリカル(歴史物)などのプラモデルを販売していました。
有名なところでは「猿の惑星」や「フランケンシュタイン」「狼男」や「ドラキュラ」などの映画キャラ、あるいはオリジナルのホラー風味の作品、「スーパーマン」や「ハルク」「スパイダーマン」などのコミックキャラクターも豊富に発売していました。
中には、オーロラ完全オリジナル風味の「ゴジラ」や「ラドン」「キングギドラ」もあります。
キャラクターモデルが有名になって伝説化してしまったので、キャラクター(フィギュア)モデルのメーカーというイメージが強いですが、スケールモデルもたくさん出してました。

百聞は一見にしかず、まずは一部の完成品をご覧ください。
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▲オーロラの素晴らしい作品群の一部。はい、これ、今のフィギュアじゃありません。なんとこれが半世紀近く前のキットなんだから驚く。上段左から、「フランケンシュタイン」「ギルマン(半魚人)」「ドラキュラ」「ウルフマン(狼男)」「ゴジラ」「ノートルダムのせむし男」「ジギルとハイド」「忘れられた囚人(オリジナル)。上段のモンスターキットは評価が特に高く、半魚人は最高傑作とも言われている。ポーラライツから近日再販予定だったはずだが、なかなか出ないぞ、どうなってんだ。
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▲実物とは似ても似つかない「完全オーロラ風味」のキングギドラ、ゴジラ、ラドンさん。個人的にはこっちのラドンのほうが着ぐるみより好き。このゴジラはよく「似てない」と言われますが、初期の数本のゴジラをミックスしたトータルイメージとしては、かなりゴジラらしいと思います。マルサンあたりの国産オモチャもコレを参考にしたのか、トカゲ顔がよく似てましたね。

倒産後、金型の多くは、モノグラムに引き取られ、何度も再販されていますが、不確かな記憶では一部MPCも再販してたように思います(なお一部の金型は紛失しており、再販不可能)。
最もモノグラムとMPCは重なったブランドで、いわゆる「製造元」と「販売元」の関係だったようですので、イマイチ詳細は私には不明です。

近年はポーラライツやメビウスモデルなどが、オーロラの製品を金型を使って再版、もしくは「オーロラテイストのモロコピー」製品を出しています。

モノグラムかMPCは、映画の「スーパーマン」が公開されたとき、新金型で顔だけを主演の「クリストファー・リーヴ」風にしたものをつけて再販してます。
このキットは、中学のときに作ったものが後年見るとヘタクソだったので、作り直そうと塗装を削り落としたものが、いまだに家にあります。
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▲再販時のスーパーマン。煉瓦塀をパンチでぶちこわす、力感溢れる大傑作モデル。「アホの坂田前髪」が特徴的なクリストファー・リーヴ風の顔に変更されている(というか、本人のつもりなんだろうけど、あまりに似てないので「風」としか言えない)
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▲こちらが元のモデルの顔。全然違うのである。テレビシリーズのジョージ・リーブスを元にしていると思われる。両方とも所有。

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▲ちなみに、これまた大傑作のスパイダーマンもあるよ。蜘蛛の糸まで整形したり、一体成形で作られている悪者が凄い。今でもポーラライツから再販されているがコレはまだ持ってない。メビウスモデルのスパイダーマンを買ったので、まあいらないかと思ったり。

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▲テレビシーズ風味のバットマンもある。これもなかなか良い出来。なかなかっつーか、完璧だよね。再販で持ってる。

メビウスモデルは「オーロラスケールのシービュー号」という、完璧にオーロラを意識したキットを出してますし、自社製品の「ベラ・ルゴシ」のキットなどは、完全にオーロラの「ドラキュラ」の再現版です。
ポーラライツからはオーロラの金型のシービュー号が出てますね。
また、メビウスから鳴り物入りで登場した「2001年宇宙の旅」の「ムーンバス」のキットは「オーロラのムーンバスを完全再現」という触れ込みでした。
これは、オーロラのムーンバスの金型が列車事故で焼失しているため「伝説のキット」となっているので、根性で現存するキットから採寸して再設計したという凄いアレです(もちろん飛びついて買いました)。
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▲完全新金型によるオーロラ版ムーンバス。なんかこのキット、パーツがガタガタのとこまで再現されてんですけど、そんなところまで再現せんでもいいだろうW

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▲オーロラのドラキュラ(左)と、近年発売されたメビウスモデルのベラ・ルゴシ。時代柄進歩はしているが、明らかにオーロラ製品の雰囲気の再現を狙っているのが分かる。足下に転がるガイコツは、オーロラ製品によくあった演出。メビウスの製品名は「ドラキュラ」ではなく、演じたホラー俳優の「ベラ・ルゴシ」という実にマニアックなキットである。なのに、なんでフランケンのキットは「フランケンシュタイン」であって「ボリス・カーロフ」じゃないのかは謎。

ポーラライツは、オーロラの金型を多く再販していますが、一部のキットは、やはり「オーロラ風味」を再現した新製品となっています。
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▲以前紹介したポーラライツオリジナルのゴジラ。オーロラのジオラマゴジラ風味を再現している。

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▲おまけ。コレはなんでしょう? 答えは、現在製作中のポーラライツ、ロスト・イン・スペースの巨人。むろんコレもオーロラ製品の再販。


さて、以上のことからも分かるように、倒産後40年近く経つというのに、いまだに、こうして
オーロラは広く模型メーカーにまで愛好されている
のです。
これは、かなりの異常事態です。

日本でも「ブルマアク」や「ミドリ商会」が愛好されるような、「懐古趣味」的な意味合いの愛好は、もちろんあります。
そういう「懐かしさ」にお金を出す、というのは珍しくないのですが、オーロラの場合はそういうのではなく、完全に「現代にも通用するもの」として愛好されているから特殊なわけでして、むろん、そこには理由があります。

それは、オーロラの製品の多くが、純粋なディスプレイキットであっただけではなく、情景模型であったためです。
写真を見れば分かるように、単なる情景模型というよりも
映像の一部分を切り取ったかのような素晴らしいセンスであった
というのが、今でも愛好される理由です。

とにかく、オーロラを語る上で、絶対に外せない第一のキーワードがこの
センス
です。

まあ、正直に肩入れモードを外して、冷静になってオーロラのキットを眺めてから言いますと、モノによっては、かなりダサっぽいセンスやポーズのキットも多いんですけど、それにしたって、何かこう
それはそれで味がある
という感じで、「ヘタウマの絵が味がある」みたいな感覚で、やはり
まごうことなき独特のオーロラテイスト
というものになっているわけですよ。


整理すると、オーロラの全盛期、日本のプラモデルは
子供のオモチャ
という位置づけの時代です。
ゼンマイで動いたり、モーター動力で走ったりする、ショボいディテールで形状が実物とは全く異なる模型が普通に売られていた時代です。
レベルの差はすさまじいものがあります。

たとえばコレ
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1960年に発売された、オーロラのハルクです。
テレビシリーズの前ですから、コミック版です。
私も最近、再販で買いました。
一方、こちら
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同年に発売された、今井科学の鉄人28号ですよ。
同じキャラクターモデルで、この差。
日本がこの時代に、ハルクですから、そら憧れますよね。

しかし、これは、私たち日本人が衝撃を受けた理由ではあっても、米国でいまだに愛好される理由にはなりませんよね。

そこで、海外に目を向けますと、海外では、模型は元々、大人のホビーという位置づけでした。
そして、昔は、SF映画にしろホラーにしろ、ジャンルフィルムは「特殊な層が好む物」であったわけです。
キューブリックが「大人の鑑賞に堪えるSFを作る」と意気込んで「2001年宇宙の旅」を作ったのが、この時代ですから、それ以前は、まあ、端的にいえば子供向け、幼稚なものという見られかたが強かったんです。
ましてや、コミックは完全に子供のものです。

要するに、昔は、大人のホビーとしての模型は、スケールモデルであって、キャラクターキットはスケールモデルよりハッキリと格下だったわけです(日本もガンプラブーム以前は同じです)。

そんな時代に
完全に大人テイストのセンスのいいディスプレイモデル
を出していたオーロラというメーカーは、やはり米国の子供にも相当にショックだったらしく、それが、いまだに愛好者がたくさんいる理由です(一部遊び心溢れる可動キットもありました)。
オーロラの作品が「映像的」であることと、ジョー・ダンテのようなオタク的な映像作家の多くが、オーロラを愛好していて、しばしば映画のスクリーンに登場するのも、偶然ではないのでしょう。
(新しいところでは、世代が違うのですけど、J.J.エイブラムスの「スーパー8」で、主人公の少年がオーロラのプラモを作っているカットがあります。背景にもオーロラのキットがゴロゴロしてます)


オーロラの製品の多くが、題材が子供もしくはローティーンあたりにウケそうな題材であり、しかし、その年齢で作るのは難しい、という矛盾がありました。
そのことが「大人になって技術がついてから、もう一度アレを欲しい、ちゃんと作りたい」という層を生み出して、今の再販ブームに繋がってるんじゃないでしょうか。
このことは、キット自体のデキはアレですけれど、近年になってイマイの「サンダーバード」をはじめとするいろんなキットが再販されて売れているのと似た現象だと思います。


あとですね、私の個人的な主観を2つ。

まず、オーロラのキットが今でも凄く優秀な理由のひとつは、完全な「イメージモデル」だということじゃないでしょうか。
つまり、映画にしろ、コミックにしろ、情景的な模型というのは「映画の、マンガのあの場面」を再現したという発想になりがちなんですけど、実はオーロラのキットは、ほとんどそうじゃないんですよね。
ほとんど「オーロラオリジナル」なんです。
完全に、そのキャラの、そのキャラらしい「イメージ」を最大限に再現しているから、見る人は何の疑問も持たずにそのキャラの模型として受け取ってしまうんですが、よく考えると、元ネタにそんな場面は無いんですよね。
これは、たとえば長編マンガを映画にする例を思い浮かべたら分かりやすいと思うんですが
あるキャラクターを、全く違う媒体で再現する上で、最も優秀な手法のひとつ
なんですよ。
元ネタの「ある場面」を違う媒体で再現するというのは、元ネタを知っている人には「ああ、あの場面ね」と分かるけれど、逆に、元ネタを全く知らない人が見たら、「なにこれ?」となりがちです。
ところが、イメージモデルというのは、「雰囲気」を伝えるから、元ネタを知らなくても「なんとなく、こんな感じ」というのが伝わるんですよ。
例えばね、「猿の惑星」の「ジーラ」は研究者だから研究室みたいな情景だし、「コーネリアス」は人間の歴史を研究してたから廃墟を探索してるような情景だし、「ザイラス議長」は知的な猿だから人間の残した廃墟?の書庫みたいな場面なんですけど、映画には、そんな場面ひとつもないんですよね
完全にオーロラの創作なんです
だけど、映画のキャラのイメージそのものの場面設計なんで、この模型見たら、映画を知らない人にも、このキャラがどんなキャラか、なんとなく伝わってくる。
これが、オーロラの凄かったところです。

あと、これは、あまり世間でも言われたことのない話だと思うんですけど、オーロラのものすごく凄いところは「パーツ分割」だと思います
このことは、作り始めて、はじめて気づいたことなんですけど、インジェクションキットというのは、金型でプラスチックを抜く関係で、いわゆる「逆テーパー」というのは絶対に作れないわけですよ。
そのデメリットを考慮した上で、その欠点が出にくいポーズづけを発案しているのがまず凄い。
その上で、出来るだけパーツ数が少なくなるように抜いてあるんですが、それも、出来るだけディテールが出るように、分割を極限まで工夫してるんです、それが凄い。
この発想は、なかなか常識に囚われてると出ないんですよ
たとえば、人型のものだと、どうしても普通の人間は「人形は前後に分割する」という常識的発想から抜けないんですよね
オーロラは、一部のキットでは、なんと左右に分割されてたり、胴体の一部だけ別パーツで切り抜かれてたりもするんです。
この柔軟な設計思想は、ちょっと、相当に異質で知的だと思います。


と、まあ、オーロラはそんな伝説のメーカーです。


さて、そこで個人的な話に目を向けますと、私が子供の頃は、本気でプラモを作り出す少年は、いずれは、模型雑誌「ホビージャパン」に出会うしかなかったわけです。
そこで、誌面に載っていた広告でオーロラのキットに出会ったのが、私のオーロラ刷り込みの始まりです。

子供の時、やはりキャラクターモデルというのは「子供のオモチャ」だったわけですけど、単にキットの問題ではなく、まず「洋画」というものが、一種「大人の世界」であったわけで、外国のもの、というのが全部「憧れ」なんですよ。
なんせ、「あ~あ~憧れのハワイ航路~」というわけで、まだハワイが「憧れの外国」だった時代ですからね、新婚旅行がハワイじゃなく熱海だった時代です。
更に、その「洋画に出てくるキャラクター」の模型なんてものは、日本には全く無かったわけですよ。
ダサい「ウルトラマン」のプラモはあったとしても、「猿の惑星」のプラモはないわけで
洋画のキャラクターを模型にしている
というのが、もう、凄い格好いいことだったんです。

その上、それがセンス溢れる情景ですよ。
当時の日本の子供プラモデル感覚には「キャラクターを普通に情景模型としてプラモデルにして売られている」なんてこと、考えられません
せいぜい「サンダーバード秘密基地」どまりですから
もの凄い憧れを感じた
わけです
逆に言えば、国産と外国製にそういう「差」があったからこそ、余計に外国に憧れを感じるようになったわけです。

このことは、70年代ぐらいまで続く話で、たとえば「スターウォーズ」ブームの頃、日本のタカラと米国のMPCからSWのキットが出ていたのですが、たとえばツクダのX-WINGはオモチャみたいでゼンマイついてる「お子様テイスト」なのに対して、MPCのキットは、もの凄いディテール(と当時は見えた)で完全ディスプレイで「大人な空気がバリバリの大人キット」だったので
やっぱ外国のキットはリアルで大人っぽくていいなぁ
と当時の子供達は感じていたのです。

というわけで、当時の子供は、羨望のまなざしでホビージャパンの誌面を見ていたわけです
ぶっちゃけ、当時の子供は、本文より広告見てた頻度のほうが高いと思います。


もうひとつ、私のオーロラ刷り込みを強化したのが、以前も少し書きましたが、家の近くの西部デパートに、模型店が入ってまして、そこに海外の輸入キットがたくさん売ってたんです。
あとから思うと、HJに広告出してたのは、そこの店なんですよね
むろん、買える財力なんか無いですけど、眺めているだけで楽しかったですから、西部に行くたびに、そこに眺めに行ってました。
そこで、実際にオーロラのキットの完成品を見たことが、刷り込みの強化にひどく関与してます。

はっきり言って、子供のときにオーロラのキットを見てなかったら、私は
大人のホビーとしての模型
には足を踏み入れなかったと思います。

結局、私がオーロラのキットを買えたのは、倒産後の再販となりますが、そこで初めて実物に触れて、やはり、その素晴らしさを再確認して、完全にファンになったわけです。
20代ぐらいのときは、まだまだ財力もありませんし、いつでも買えたわけじゃないですけど、以後のホラーキャラの再版などは、お金があるときは何度か買ってます。
なので、ミイラ男だけで3体ぐらいあったりもします(笑)

一度モデラーから足を洗い、度重なる引越で、全てのキットを一度は処分したのですが、オーロラのキットだけは、ずっと残しておきました。

私は、模型を作るとき、絶対にどんな模型でも、一度は
情景模型のネタを考える、あるいは、最低でも簡易ベースのネタを考える
んです。
最終的に作る作らないは別にして、必ず「絵」を構想します。
こういう性質になったのは、間違いなく
子供の頃のオーロラ刷り込みのせいです

情景模型の楽しさを理解している方々には、言うまでもないのですが、情景を作る作業というのは、実に楽しいのです。
たとえ、完成した情景を組み立てるだけであっても、そこに手を入れれば入れるほど、愛着は湧いてきますし、いかに「自分なりに仕上げるか」という楽しみがあります。
結局、半世紀経った今でも、オーロラの何が我々を魅了し続けるのか、といえば、つまるところ
ホビーとして模型を作る楽しさを体現しているから
ではないかと思うのです。


追記:あとで調べると、「猿の惑星」シリーズはAddar(アダー)というメーカーの製品らしいです。オーロラにしてはやけにデキが悪いのは、そのせいなのかもしれません。
ネットには、「ジョークなのか、パッケージに「AURORA」のマークが印刷されていたことから、誤解が広まってしまった」「オーロラは猿の惑星のキット一切出してない」というような情報が複数ありますが、この当時はまだオーロラは倒産前ですから、普通に現存するライバルメーカーのロゴを勝手に使うなんてことは、常識的に考えて、ありえないでしょう。
この問題に関しては、あとから書きました猿の惑星キットの謎をもうちょっと追えで詳しく追求していますので、そちらも併せてお読みください。

s-l300
▲一応証拠写真。ザイアス議長の初期のパッケージ、
ちゃんとaddarのロゴが入っている
_AC_UL320_SR270,320_
▲こちらのほうが遙かに有名になってしまった、AURORAのマーク入りのオーロラ版パッケージ。実態はポーラライツ製品。

拍子抜けですが、製作記事じゃないんです
けど、ちょっと紹介したくなって。
そのうち続きの製作記事を書きたいです。

イーグル・トランスポーターは、ご存じ「サンダーバード」の生みの親、ジェリー・アンダーソンが製作したライブアクションドラマ「スペース1999」に登場する、特撮史上屈指のデザインの宇宙船です。

おそらく、実際にあるコンテナヘリに着想を得たんではないかと思われるんですが、パーツを換装して様々な目的に対応できる、という発想は当時、実に素晴らしかったですね。
最も、ドラマ内では、いろんなタイプの機体が登場するので、そういう風に見える、というだけで、明確に「パーツを変えられる」という説明はなかったような気がしますが、違うかもしれません。

どうも、SF設定的な意味合よりも、パーツごとに交換できるようなデザインにしておけば、破損の修復やダメージ表現など、いろんな撮影時の作業が楽になる、という必要性から、デザインされているようです。
このあたりは、サンダーバード2号の苦労なんかの長年の教訓が集約されてるんでしょうね(サンダーバード2号は頭が重すぎて操演しにくくよく頭から落ちたり、コンテナのないタイプは真ん中がボキボキ折れて頭から落ちたそうです。補修を重ねているので、同じプロップでも形がどんどん変わっているのです)

さて、そのイーグルですが、MPCがプラモを出していまして、これが昨年、再販されたので、買おうかどうしようか、ずーーーーーーーーーーっと悩んでたんですよ。
なんで悩むのかというと、とにかくこのキット、当時の再販ですから、デキが悪いのを知ってるんですよ
なんせ「あの」MPCですからね。
それが6~7千円するので、高すぎるから、買うのを躊躇してたんです。

そんなこんなで、ずーっと躊躇しているうちに2016年になりまして、でも、気になるキットなんで、時々ネットで見ちゃうわけですよ。
そしたら、なんかおかしいんです
あのデキが悪いキットとは、似ても似つかないスマートなキットの写真が検索で出てくる。
はて??
と調べてみたら
1/48 EAGLE TRANSPOTER
というのがアナウンスされているじゃないですか

今時、完全新金型ですよ!!

1/48となれば、22インチですよセンチにしたら55センチ以上です。
スタジオモデルサイズですよ、でかいよ!!!


もっとも、これの元になってる撮影用モデルは、1メートルモデルだそうなので、これでも半分に縮小ですが。
90センチある、メビウスモデルの1/128 シービュー号にはかないませんが、なかなかのデカさです。
あ、そうそう、余談ですが、1/128 シービュー号も金型修復後の再販が出たので、買ってしまいました、でっかいほうのフライングサブも。


MPCといえば、どっちかというとモデラーには
ぞんざいなディテール、隙間の空きまくるパーツ、アバウツな形

信頼のおけないメーカー
とカテゴライズされていると思いますが、そのMPCがナニをとち狂ったのか、はたまた、マニア化する一方のモデル業界で生き残るには、マニア好みに対応することが必須とようやく悟ったのか
マニアの協力をあおいで、撮影用プロップを徹底再現した
という、MPCらしからぬ異様な懲りようです。

うわ、欲しい!!!
と、うっかり、予約注文しちゃいましたよ
でかいですからね、ええ、高いです
6~7千円だと手が出ないのに、1万4千円だと買ってしまうという、この不思議なスタンス。
いやそらもう、あのデキの悪い旧キットが6~7千円で、新金型のバカでかいのが倍の値段なら、こっちでしょ。
脳が「イーグル欲しい欲しい欲しい」になってるところに、こんなもん見せられたら、うっかりポチってしまうってもんです。
古いキット買わないで我慢してて良かった~、と思いますが、買った人は怒ってんじゃないか? 新金型で出すんなら、再販すんなよ! と。

で、ようやく、その予約商品が発売になって届きました。

その懲りようだるや
DSCF1700
▲箱でけえ!!
いや、でかさと懲りようは関係ないですね(笑)
対比物がないので、わかんないですね、60センチぐらあります。

DSCF1697
▲箱をあけるとパーツがぎっしり。
DSCF1701
▲トラス部分は前後分割で収められてますので、組み上げるとでかいです。


実はイーグル、今でもスタジオモデルが現存してまして、結構普通にネットで検索すれば見られますので、比較が簡単です

▲現存するモデルの動画

以下はメーカーの試作品の画像ですが、実に見事にプロップを再現していると思います。

mpc825_02
mpc825_03
mpc825_04
mpc825_05
mpc825_06
着陸脚は、スプリングで可動します。
試作は窓が埋まってますが、もちろん、コクピットも再現されてます。
IMG_1471_zpsnowmyzyl
最初見たときは、「何コレ、ぞんざいなパイロット。壁に棒でくっついているし、シートないし」と一瞬思って「やっぱMPCだな」と思ったんですが、よく考えると、コレ、わざとなんですよ
元の、イーグルのスタジオモデルが、こういう作りなんですよ
パイロットの人形が、椅子に座らず、背中で壁にくっついてるんです
イーグルの窓は狭いんで、ほとんどパイロットが見えませんから、こういう作りだったんだと思います。
撮影モデルは下半身は無かったと思いますが、基本、プロップの再現なんですよね、なるほど徹底再現だ、凄い

ところで、なんでコレを紹介したくなったかというと、こういう、昔のSF特撮プロップを作る楽しみというか、楽しさのひとつに
撮影用モデルがどう作られたか、パーツを見てると色々発見があって面白い
ことだと思うんですよ
「宇宙空母ギャラクティカ」だとか「スターウォーズ」だとかのメカなんか、プラモのジャンクパーツの寄せ集めですからね。
プロップをきっちり模型で再現すればするほど、元になったプラモのパーツも、そのまま再現されるわけですから、面白い(笑)
バンダイのSWシリーズも面白いですね、見覚えのあるパーツがゴロゴロ。
SWは結構、ハッキリと「劇中での機能が分かるパーツ」にそのまま流用パーツを使ってますから、大胆ですね。
特に、あの当時、日本、主に「タミヤ」の模型は、群を抜いてレベルが高かったので、海外のプロップに非常に頻繁にパーツが使われているから日本人が見ると面白いです。

でもって、このイーグルも結構露骨なところがありまして
DSCF1695
はい、アポロ月着陸船ですね、まんまです、まんま貼り付いてます(笑)
おそらく、コレは大きさからして、元はレベルの司令船とセットになっているキットだと思います。

DSCF1696
これはスケールからして、タミヤの1/35だと思います、タイガー戦車の後部パーツそのまんまですね。

まだまだありますが、今回はこのへんで。
早くキット制作記事を書きたいな。

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