銀河ぐらますガイド 造型分室

元プロモデラー・もこもこフジタの、やっつけ模型ブログ

2017年04月

さて、今回は制作ではなく、ちょっと考察をしてみます。

別に私、設定マニアではないので、模型であまり細かいことを追求する気はないんですけども、作る上で、いいかげん、一度きちんと、飛葉のバイクが何なのか、ということを特定しておかないと、制作がとどこおりますので。

脳内では一応、考えてるんですけども、一度ちゃんとまとめとくかと。

まー、といっても、別にね、考え出すと、答えはハッキリしてんです、というか、この話、何が言いたいのかっていうと、まず、ワイルドの初期に飛葉が乗っていたバイクはCB750ではない、というのは有名です。
初期は少年漫画色の強い、省略された絵で描かれていますので、特定するのが結構困難なんですが、その特徴から、ファンの方々の研究で、おそらくCB450だろうということが分かっています。
ただし、初期はバイクが一定ではなく、250CCとか、違うバイクがモデルになっていると見える場面もあります。

野性の七人

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▲CB450と見られる初期バイク。エンジンのアップの絵があり、比べて見ると確かに納得する。


また、トライアンフにまたがっている絵はよく見かけて有名なんですけど、扉絵なので単行本には収録されてません。
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▲くだんのこの絵。

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▲この絵のバイクは、トライアンフT120ですね。



といっても、今回の話は、そーいう話ではなくてですね、飛葉のCB750はCB750でも、それが何なのか、ということです、って意味不明ですか?
何を言ってるかというと、CB750は当時爆売れしましたからね、モデルチェンジを繰り返しているんです、つまり飛葉のバイクはどこに当たるのか、ということです。

といっても、と、また「といっても」が続いてますけど(笑) 望月先生、明らかにタミヤのキットを参考に絵を描いているので(後で証明します)、飛葉のバイク、イコール、タミヤがキット化したモデル、ということになるんですけどね、それで話が終わってしまうと面白くないんで、まあ、息抜きのネタとして色々考えてみます。

CB750は初期型をK0とし、K7まで存在するのですが、タミヤのモデルはK0タイプですから、まあ、イコール飛葉のバイクとすれば、K0なわけです。

はい、話は終わり、というわけでもなく、実はK0も発売時期によってかなりマイナーチェンジが繰り返されており、CBマニアで初期型のレストアで有名な尾崎氏という方の検証によると、前後期だけで300カ所以上の違いがあるそうです。

K0の中でも、一番特徴的で、模型制作にダイレクトに関係してくるのは、K0の最初期型はクランクケースが砂型鋳造で作られていることです。
生産効率の悪さから、このタイプは7000台ほどしか生産されませんでした、現存するのは何台でしょう?
しかし、よくもまあ、砂型鋳造なんて面倒なことやったもんです。
実は私、一時期個人鋳造にハマっていて、金属溶解器と真空鋳造機、ワックス注入器を持ってたんですけど、面倒くさいですよー鋳造!! 砂じゃなく石膏鋳造でしたけどね。

タミヤのキットは、全部同じメッキになっていますが、もし初期モデルなら、砂型鋳造なので表面は梨地のザラザラで、ツヤのない銀色をしています。
また、シリンダー部のフィンも鋳造なので、ツヤなしです(この部分は、説明書にも「鋳造なのでシルバーを筆塗りしてください」みたいなことが書いてあります。

ここ、決めておかないと、模型が作れません。

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▲初期の砂型鋳造クランクケース。フィンも同様。砂型なので、非常に表面が荒くモールドがダルいのが分かる。これをそのまま模型に再現すると、たぶん「単にモールドがダルいヘタクソな作りなだけ」にしか見えないと思うので、控えめに。

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▲その後のケースは金型。明らかに質感が違うことが分かる。もっとも金型でも鋳造なので、質感は細かい梨地のつや消し。なのでタミヤのエンジンパーツが一律に全部メッキてかてかは、やっぱり違う。側面のギアカバー部とクランクケースの質感の違いが、CBのエンジンのポイント。


CBが出て、すぐに飛葉ちゃんが飛びついた?ことを考えると、飛葉のモデルは最初期タイプと想定するのが正解かと思います。
もっとも、ヘビーに酷使される飛葉のバイクですから、どんどんパーツ交換されていったと想定しますので(修理できてる、って話題も出てくるし)、結局、各型のパーツがちゃんぽんになってたり、何度もベース車体が変わっていると考えるのが妥当かと思いますけどね。

追記:その後資料を眺めていたらタミヤのキットは初期型ではなかったです。オイルフィルターカバーの形状が初期型とは違いました(初期型はキットのような空冷フィンは付いてない)。当然、そのキットを作画に使ってる飛葉ちゃんのバイクも初期型ではない、という結論になります。

なお、望月氏がはっきり模型を基礎に作画しているのが分かるのは、タミヤのキットはフロントフェンダーが金属パーツなんです。
金属なので、エッジの縁取りの立ち上がりが一切ないので、プラ板で追加する記事を前に書きました。
確かに、エッジのないタイプのパーツというのも実車にあったらしいんですが、エッジのないタイプは、ちょっと今資料が見つからないので「カットフェンダー」だったか、そんな名前だったように思いますが、全部に縁取りがないわけではなく、普通の縁取りのあるフェンダーの前後を真っ直ぐ切り飛ばしたような形で、タミヤのパーツとは形が違いますので、タミヤのパーツは、別にそれを再現しているわけではなくて、単に「金属押し出し」だから縁を整形できなかっただけと思われます。

で、望月氏がタミヤのキットを参考に作画していたろう証拠ですが、そのフロントフェンダーの縁取りが描かれてないことから、(少なくとも初期は)タミヤのキットをトレースしていたと考えられます。
描かれていないこと自体は漫画固有の省略とも考えられますが、ところが、フロントに縁取りがないのに、リアフェンダーだけはちゃんと縁取りが描かれている絵があるんです、このことから、明らかにタミヤのキットを参考にしていると思われます。


あとですね、タミヤのモデルはK0タイプと断定してますけど、まあ発売時期がK0の時ですから、当然K0なんですけども、(少なくとも私の持っている今のキットの)説明書にはモデルタイプは書かれてません。

また、私が作っているのは、タミヤの再販ノーマル版が入手できなかったので、東海モデルの限定版キャンディブルーなのですが、実は、元々、初期のタミヤのキットはこのキャンディブルーだったんですね、パッケージもブルーだったそうです。
 ただ実車のカラーでK1からブルーが廃止されたので、成形色もそれにあわせてゴールドになり、パッケージもゴールドになったというわけです。

他に、いずれ苦労するはずの(笑)記事で触れますが、チェーンが一体成形でダサいんですよね。
初期には組み立て式のチェーンが付属したキットがあったそうです。
なんでも最初は一体成形オンリーだったのが、社長の鶴の一声で付属したらしいですね、国内ではかなり昔から付属しなくなりましたが、海外輸出版には、割と近年まで付属していたみたいです。
 このパーツは今でもたまにヤフオクなどで高値で取引されてますが、組み立てた人によれば、「めっちゃ組み立てにくい」らしいです(笑)
チェーンは悩みどころで、一応、代替案も考えて工業用チェーン買ってあったりもするんですけど、なんか6月にタミヤから1/6の組み立てチェーンが発売になるみたいですね、それまで待つか悩みどころ。

てなわけで、今回はただの雑談でした。 

ものすごい久しぶりの、タミヤ 1/6 CB750FOURの制作記事、更新です。

えっとね、この記事、一度大幅に書き直して、保存する前にPCが落ちて、リカバリが効かなかったので、再び書き直すのが面倒くさくなってます、なので、説明が割とぞんざいかもしれません(笑)


さて、以前のブログで、タミヤのCB750は
自分が子供の頃のキットとは思えないぐらい、今見ても良く出来てる。
みたいなことを書いたんですけど
すんません、割とそうでもなかったです(笑)

いやまあ、充分良く出来てるとは思うんですが、その後、作り進めていくと、さすがに古すぎて辛い部分がたくさん出てきました。

モールドや全体の形状はまあいいんですが、金型のズレ、ゆがみ、スキマなどがひどい感じです。
ひどいところではパーティングラインで0.5ミリぐらい断層のようにズレが出てまして、精密な機械のキットでこのズレ具合は結構修正が辛いです。

タンクの裏側のパーツなんか、ミリ単位でスキマあきます、これじゃガソリンだだ漏れじゃん(笑)

エンジンの空冷フィンは、いくつかのパーツに分かれてるんですが、組み合わせると全然フィンの位置が合わない上に、分厚くて、明らかにフィンの断面が長方形じゃなく台形な感じなんすよ。

金型の都合上、断面が縦向けに台形で厚いのは、ある程度仕方ないと思いますが、合わないのは困るし、どういうわけか板の厚みが横方向にも台形だったりする。
暇を見ては削り込みつつ薄くして位置を合わせていったんですが、あまりに手間がかかるんで、正直
削り落として0.3ミリプラ板とか金属板で作り直したほうが楽だなぁ
と思ったんですけどね。

ここまで、すごく時間かけたので、その労力を無駄にするのがもったいなかったのと、なにやら、
プラモデルなので、最後までプラモのパーツのままで作ってやる!
みたいな、よくわからない妙に意固地な固執意識が働きまして(笑)  最後まで頑張ろうと思ってやってたんですけど、暇な時間を見つけてちまちま作ってると、それだけで一ヶ月かかったりしたのですね。

そのへんの労力で、「この先もこんな面倒なのか」と思ったら、力尽きてしまって放置していたんです(笑)

まあ、この「あえてプラモのパーツのまま作ろうとする意識」ってのは、前に雑談で書いた お仕事と趣味 という話、まさにその話なんですけどね。


とにかく、そんなわけで挫折してたんですが、とある事情があって・・・その事情とは、まず、以下を呼んでください。
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実は、模型誌「ホビージャパン」のライターをやってた頃、編集のIさん(後の編集長)が、やっぱり「ワイルド」のファンで
そのうち、ワイルドのバイク作りたいね、フィギュアも乗せたいね
なんて話を、ことあるごとにしていたんだけど、結局実現せずのままライターをやめてしまい、悔やまれることだったんだけど、今頃、ようやくリベンジマッチ
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これ、初回の記事に書いた話の引用です。

したら、驚いたことに、このブログに書かれている「編集のIさん」が、たまたまブログを見てメールをくれましてね。
最後にお会いしたのが、私が関東を引き上げる前日に、モデラー野本氏の家に遊びに行ったとき、たまたま打ち合わせで来てはったときだったので、かれこれ7年ぐらい前ですかね。
メールで昔話やCBの話題で盛り上がってしまい、再びやる気が出てきて、手をつけはじめた、というわけです。


関係ないけど、Iさんから、今の「ホビージャパン」の編集長って、私が現役の頃にいらっしゃった営業のKさんと聞いてびっくり。
編集は全員入れ替わってしまったけど、他の部門では古参の方がまだ残っていて部署異動で編集になってたりするんですね。
 


さて、このプロジェクト、目的はあくまでも
飛葉ちゃんのCB750を作る
ことで、実車のCB750を作ることではありません。

つまり、漫画のイメージを再現することが目的なわけで、漫画のイメージは必ずしも実車と同じではないわけです。

これは悪口ではないんですけど、実車を改造されて飛葉のバイクを作られている方がいらっっしゃって、ネットで写真が見られますが、Iさんと「あのバイクはなんか似てないよね」という話になって。
もちろん、実際に人が乗って車体を傾けて走るバイクですから、改造には限界があり漫画の通りにできるわけないのは当然なんです。
そこは分かるけど、あれを見たときに「実車のまんまでパーツをつけると、漫画のイメージとなんか違う」ということに気づいたわけです。
そこで、なるべく漫画のイメージに近づける処理をしてやろう、と。

ただまあ、模型に有利な部分もありまして、それは
望月先生、基本的にタミヤのプラモデルを参考に作画していた(アシスタントにもさせていた)ことで有名
です。
今と違って、当時はネットもない、本も少ない、洋書の入手も大変、簡単に資料が手に入らない時代ですので、精密なタミヤのプラモは貴重な資料でしたからね。
つまり、望月先生の漫画のメカ描写は、だいたいプラモのまんまなんです、プラモの間違いなんかもそのままトレースされてたりしますしね(笑)


さて、漫画で一番目立つのは、実車には無い、飛葉カスタム追加パーツは別として、形状の違うシートと、やはり「ガソリンタンク」です。
漫画はタンクが強調されて描かれているし、丸っこいイメージなんですよね。
実車のタンクは、実は丸く見えて、結構エッジが立っていて鋭角的です、明らかに漫画のイメージとは違うんです。

そこで、Iさんのアドバイスもあり、今回は
とても面倒くさい(笑)
タンク改造に着手しました。
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▲さあいじり倒すぞこのパーツ。前部のU字型の部分の奥に注目。めっちゃパーツにスキマ空いてるのが分かるだろう。まあ組み立てるとほとんど見えなくなる部分なので、あまり気にしなくていいが、元からこういうキットなのか、と思って説明書を見たら、ピッタリ合うように絵が書いてあった、うそつけ(笑) 側面と上面のつながりに、意外なほどはっきりしたエッジが立っていることが分かるだろう。この感じは漫画のイメージではないので、削り落として丸めてやる。

側面にはプラ板を貼って膨らませてやり、上面はポリパテで延長します。
久々に、がしがしと削り込み作業をやりました、こういうの、趣味の模型であんまりやってないので久しぶりな感触。

全体に、側面で1ミリほど、上部で3ミリほど大きくなってます。

同時にエッジをなるべく落としてやり、特に側面から見たとき、タンクの前部から後部にかけての丸みを強調するような感じで削り込みました。


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▲手をつける前に側面写真を撮り忘れたので、既に途中でスマン。縁取り部分をプラ板で盛り上げている状態。タンクのラインを改造する。
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▲側面はプラ板で厚くし、上面はポリパテで盛り上げる。だいたい形になったところ。元と比べるとボリュームが増していることが分かる。先端部あたりの上部ラインはイマイチなめらかでないが、あまり気にしなくていい。なぜなら通信機が付く予定だからである。


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▲通信機といえば作りかけのパーツ。なんでしょう? はい、答えは通信機のマイクとスピーカー。毎回、登場場面になると忽然と飛葉のバイクに現れ、使い終わるとまた消えるという謎の自動出現式通信機(笑)、出てくる度に形が全然違いますが、個人的にはエピソード「谷間のユリは鐘に散る」で北海(キャラ名)を邪険にしながら喋り続ける場面が一番印象に残っているので、その絵に準じてみた。同エピソードでは冒頭にも無線が出てくるけど、もう全然形が違う(笑) マイクは割と最初のエピソード「野生の七人」でも似た形。

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▲どうもカメラが広角気味になってしまい、そのまま撮影しても手前のボリュームが大きく見えてしまうので、いまひとつキットの見本写真とパースが同じじゃないんだけど、並べてみたところ。明らかにタンクのボリューム感が増しているのは分かるだろう。


今回はこんなところで。

あ、それと今回のオマケ写真。
以前一度、本家のブログに載せてますが、私の秘蔵の
ドラマ版「ワイルド7」で草波を演じられた、川津祐介さんの直筆サインです。
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友人の家族が川津家族とお友達だったそうで、お願いして、書いてもらったものです。
頂いたのの20代の頃で、この当時は、ビデオも出てないLDも出てないケーブルテレビや衛星放送なんかポピュラーじゃない時なので、ドラマ版はいわば、ほとんど幻の作品となってましたので、貴重感もひとしおです(直後にLD-BOXが出て買いましたけど)。
さすがに古いドラマ、それも子供向けドラマの役名を書いてもらうのは失礼だと若者(ばかものと読む)心にも思ったので、「川津さんのサインください」とだけお願いしたんですけど、友人のお母さんが私がワイルドのファンだと言ってくれたらしく、わざわざ「ワイルド7 草波」と書いてくださいました。
陶芸で絵も描かれる方ですが、達筆ですよね~。
一時期心臓病で余命三ヶ月と宣告されるも奇跡の生還を果たし、現在81歳、お元気でなによりです。

公式ブログ 川津祐介の神住まう家




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