先日、バンダイのX-WINGの話を書いたので、少し、それで付随的に思った徒然を。

ネットで、こういう模型の製作記事を見ていると、やはり
撮影に使われたプロップと比べてどうか
という話が目立ちます
プロップはこうなのに模型はこうだ
とか
プロップではこの部分はこうなってる
みたいな話です
もっと言えば
プロップと違うので改造する
という話ですね

別に、それが悪いとか、そういう話では全然なく
俺は個人的には、あんまり、そういうのにはこだわりません、という話です

なんか、特撮が好きで色々知ってると、マニアだと思われがちなんですけど
単に知識が多いことと、マニアは別だと思うんです
マニアかどうかは
こだわるかどうか、だと思うんですよ
そういう意味で、俺は非常にこだわりが薄いです

特撮映画のミニチュアっていうのは、主役級なら、普通はひとつじゃありませんよね
スケールにあわせて、何種類もあるのが普通です
しかも、撮影中に破損したり、途中から修正したりするんで、同じプロップでも、ずっと同じじゃありません
X-WINGのようなものなら、実物サイズのセットもあったりします
あるいは、X-WINGの編隊のように、大量の数があって、それぞれ微妙に違うものがたくさんある場合だと、撮影時のミスで、プロップが間違って撮影されている場合もあります

そんな風に、色々なものがあるから、どれかひとつに絞るのは困難です
本当に濃いマニアだと、模型を作るとき「撮影用の何インチモデル」を基準にする、なんていう絞り込みで作ったりしますけど、それだって、前述のように、途中で変わってたりするわけです
特に、これがテレビだと、補修、改修の繰り返しになりまして、全然形が変わってくることさえあります

そういうものだから、あんまり、こだわってもしょうがない、と思いますし、じゃあ、何が大事かっていうと
やっぱり、イメージだと個人的には思うんです

映画のイメージっていうのは、模型が全て完全に映ってるわけではないし、演出やストーリーや撮影で変わってくるので、プロップの実物とはかけ離れたイメージになることすらあります

模型になると「イメージと違う」っていうのは、むしろ、普通によくある話です。
特に宇宙船なんかの巨大物の場合、巨大感を出すために、広角で撮ることが多いのですが、劇中に出てくるカットの多くがそのアングルだった場合、手前が巨大なイメージになっちゃうんで、模型を見ると、全然イメージと違う、ということがよくあります
この、映像によるイメージのいい例が、「宇宙大作戦」のメカの主役、NCC-1701 エンタープライズです。
斜め前から撮影されたカットがあまりに印象的だったんで、円盤部が「どーん」とした宇宙船のイメージができてしまいました。
それで、何十年もしてから続編の「新宇宙大作戦 スタートレック ネクスト・ジェネレーション」を作るときに、新しい宇宙船のNCC-1701Dは、円盤部を意図的に大きくして、楕円形にデザインするということをわざとやった。
これは、斜め前から見たときに、円盤部が「みんながもっているイメージのように強調されて、エンタープライズらしく見える」というデザインだったわけです

俺は、だから、「映画が好きなので、イコールとして、その映画のアイテムが欲しい」という発想が、イマイチ感覚的に理解できないんです
「XXの映画がものすごく好きだ」、っていうと、「じゃあ、フィギュア欲しいでしょう?」とか「XXX(商品シリーズ名)は買った」とか必ず言われるんですけど
え? なんで?
って思いますね

だって映画でフィルムに焼き付けられたものと、実物は全く別物ですもの。
映画がいいからといって、映画に出るアイテムが単体のアイテムとしていいとは限らないんで、別に全然欲しくない、というのが、ほとんどです
逆に、SWのように「映画はイマイチだが、プロップだけすげえ好き」ってのもあります
むろん、映画と、アイテムと両方好きが合致するケースもありますが、それはあくまで、たまたまで、両者は全く別物です

たとえば、俺は「ロボコップ」はそれこそ墓場に持って行ってもいいぐらい好き、見ながらオ○ニーできるぐらい好きですが・・・いや言い過ぎましたオ○ニーは無理です、とにかく猛烈に好きですが
ロボコップのフィギュアが欲しいとは、全く微塵も思いません、というか、むしろ格好悪いのでぜんぜん要りません(笑)
端的に言うと、「映画の中のロボッコプはメチャクチャ格好イイ」けど、「ロボコップというアイテム単体は、メチャクチャ格好悪い」ですよ(笑)
あれは映像の中で動くから格好イイんで、映像が全てです

えーと、話がすごい横ずれしました

特撮もののイメージの話です

要するに、俺の場合、イメージにあっていれば、模型は、多少形が違おうがなんだろうが構わない、ってことです
逆にイメージが違うと、いかにプロップそっくりでも、許せません。
俺も、時には、ディテールにこだわってることがあると思いますが、それは、
プロップの再現性としてこだわっている
のではなくて
イメージにとって大事な部分が違うから
こだわってるんですよ

じゃあ、イメージがどこから来るか、といえば、論理的には
全模型とセットのトータルの総合的な平均値
ということになりますが、実際には
その人にとっての、印象的なシーン
だと思うんです
要するに、自分的には「このカットがすげえ格好良く思える」とか「このシーンがすごくイイ」とか、人によって違うと思いますが、結局は、その好みのシーン、カットのイメージが、その人の持つイメージになるんだと思います

それが模型で再現されていれば良い、という話です

俺は実は、X-WINGはあまり好きなメカじゃないんです
だからX-WINGのプラモは、これまで買ったことがありませんでした
ホントにSWのメカに惚れたのは「帝国の逆襲」からで、一作目のメカは、実はY-WINGもタイファイターも、どれも、あまり好きじゃなかったんです
あとから、だいぶ印象は修正されたので、今は模型作ったりしてますが、SWシリーズは、中学の頃からMPCのキットはほとんど全部買いました、それも同じもの何個も買いましたが、以前は一作目のメカだけ頑なに買ってませんでしたから、当時は、そのぐらい好きじゃなかったんです
なぜ、好きじゃないのかといえば、当時、映画そのものに感心しなかったんです
正直な中学生の俺のSWへの感想は、「ショボ、ダサ!」でした
ダースベイダーは▲口で笑っちゃうし(これだけは今でも笑います)、主人公はとっちゃんぼうやで、柔道着着てるし、なんで宇宙にカウボーイがいるのか、なんで宇宙でモーゼル撃ってんのか、なんでお姫様はあたまに肉まんつけてるのか、なんであちこちに洗濯機のホースがあるのか、などなど・・・あげればキリがないですが(笑)、一言でトータルで言うなら
その洗練されないセンス
がいやだったんです

特に、ミニチュアが雑で特撮が良くないのが映画見てて分かって、それが嫌いでしたね
デススターの表面とか、あまりにミニチュア然としてましたし今見てもヒドいです。
X-WINGが好きじゃ無かったのは、俺にとって、X-WINGの一番のイメージが「爆発シーン」だからです(笑)
爆発シーンのミニチュアの飛び散り方、ぱかーん、と部品が取れて、全然巨大感がなく、オモチャみたいで、おせじにも、良いとは言えませんよねw
アレが俺のX-WINGの最大のイメージなんで
X-WINGダサッ!格好悪!
ってイメージができちゃったんです(笑)

まあ、かように「刷り込みイメージはとても大事だ」っていう話です(笑)


かつての伝説の模型メーカー、オーロラのフィギュア模型や、オーロラリスペクトを標榜している、最近の海外メーカーのいくつかは、たいていは
一番印象的なシーン、あるいは、印象そのものを模型化している
んですが、これは、イメージを最も重視しているためですね
映画のシーンをそのまま再現している場合は、それは「そのシーンが観客の最大公約数的なイメージになっている」と思われるためです
印象そのもの、というのは、たとえば「スーパーマンだったら、強い」ですよね、だからスーパーマンがレンガ塀を殴り壊している模型になってる、実に見事にスーパーマンの力強さ、力感を再現してます
オーロラのキットが伝説になっているのは、そういう素晴らしさがあったからです

俺にとっての模型とは、そういう
イメージの再現
です、だから、情景が好きなんだと思います
オーロラリスペクトの製品を見ると、いつも「模型はこうあるべき」だと思います、あくまでも個人的な嗜好で一般論ではありませんが。