さて、今回は制作ではなく、ちょっと考察をしてみます。

別に私、設定マニアではないので、模型であまり細かいことを追求する気はないんですけども、作る上で、いいかげん、一度きちんと、飛葉のバイクが何なのか、ということを特定しておかないと、制作がとどこおりますので。

脳内では一応、考えてるんですけども、一度ちゃんとまとめとくかと。

まー、といっても、別にね、考え出すと、答えはハッキリしてんです、というか、この話、何が言いたいのかっていうと、まず、ワイルドの初期に飛葉が乗っていたバイクはCB750ではない、というのは有名です。
初期は少年漫画色の強い、省略された絵で描かれていますので、特定するのが結構困難なんですが、その特徴から、ファンの方々の研究で、おそらくCB450だろうということが分かっています。
ただし、初期はバイクが一定ではなく、250CCとか、違うバイクがモデルになっていると見える場面もあります。

野性の七人

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▲CB450と見られる初期バイク。エンジンのアップの絵があり、比べて見ると確かに納得する。


また、トライアンフにまたがっている絵はよく見かけて有名なんですけど、扉絵なので単行本には収録されてません。
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▲くだんのこの絵。

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▲この絵のバイクは、トライアンフT120ですね。



といっても、今回の話は、そーいう話ではなくてですね、飛葉のCB750はCB750でも、それが何なのか、ということです、って意味不明ですか?
何を言ってるかというと、CB750は当時爆売れしましたからね、モデルチェンジを繰り返しているんです、つまり飛葉のバイクはどこに当たるのか、ということです。

といっても、と、また「といっても」が続いてますけど(笑) 望月先生、明らかにタミヤのキットを参考に絵を描いているので(後で証明します)、飛葉のバイク、イコール、タミヤがキット化したモデル、ということになるんですけどね、それで話が終わってしまうと面白くないんで、まあ、息抜きのネタとして色々考えてみます。

CB750は初期型をK0とし、K7まで存在するのですが、タミヤのモデルはK0タイプですから、まあ、イコール飛葉のバイクとすれば、K0なわけです。

はい、話は終わり、というわけでもなく、実はK0も発売時期によってかなりマイナーチェンジが繰り返されており、CBマニアで初期型のレストアで有名な尾崎氏という方の検証によると、前後期だけで300カ所以上の違いがあるそうです。

K0の中でも、一番特徴的で、模型制作にダイレクトに関係してくるのは、K0の最初期型はクランクケースが砂型鋳造で作られていることです。
生産効率の悪さから、このタイプは7000台ほどしか生産されませんでした、現存するのは何台でしょう?
しかし、よくもまあ、砂型鋳造なんて面倒なことやったもんです。
実は私、一時期個人鋳造にハマっていて、金属溶解器と真空鋳造機、ワックス注入器を持ってたんですけど、面倒くさいですよー鋳造!! 砂じゃなく石膏鋳造でしたけどね。

タミヤのキットは、全部同じメッキになっていますが、もし初期モデルなら、砂型鋳造なので表面は梨地のザラザラで、ツヤのない銀色をしています。
また、シリンダー部のフィンも鋳造なので、ツヤなしです(この部分は、説明書にも「鋳造なのでシルバーを筆塗りしてください」みたいなことが書いてあります。

ここ、決めておかないと、模型が作れません。

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▲初期の砂型鋳造クランクケース。フィンも同様。砂型なので、非常に表面が荒くモールドがダルいのが分かる。これをそのまま模型に再現すると、たぶん「単にモールドがダルいヘタクソな作りなだけ」にしか見えないと思うので、控えめに。

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▲その後のケースは金型。明らかに質感が違うことが分かる。もっとも金型でも鋳造なので、質感は細かい梨地のつや消し。なのでタミヤのエンジンパーツが一律に全部メッキてかてかは、やっぱり違う。側面のギアカバー部とクランクケースの質感の違いが、CBのエンジンのポイント。


CBが出て、すぐに飛葉ちゃんが飛びついた?ことを考えると、飛葉のモデルは最初期タイプと想定するのが正解かと思います。
もっとも、ヘビーに酷使される飛葉のバイクですから、どんどんパーツ交換されていったと想定しますので(修理できてる、って話題も出てくるし)、結局、各型のパーツがちゃんぽんになってたり、何度もベース車体が変わっていると考えるのが妥当かと思いますけどね。

追記:その後資料を眺めていたらタミヤのキットは初期型ではなかったです。オイルフィルターカバーの形状が初期型とは違いました(初期型はキットのような空冷フィンは付いてない)。当然、そのキットを作画に使ってる飛葉ちゃんのバイクも初期型ではない、という結論になります。

なお、望月氏がはっきり模型を基礎に作画しているのが分かるのは、タミヤのキットはフロントフェンダーが金属パーツなんです。
金属なので、エッジの縁取りの立ち上がりが一切ないので、プラ板で追加する記事を前に書きました。
確かに、エッジのないタイプのパーツというのも実車にあったらしいんですが、エッジのないタイプは、ちょっと今資料が見つからないので「カットフェンダー」だったか、そんな名前だったように思いますが、全部に縁取りがないわけではなく、普通の縁取りのあるフェンダーの前後を真っ直ぐ切り飛ばしたような形で、タミヤのパーツとは形が違いますので、タミヤのパーツは、別にそれを再現しているわけではなくて、単に「金属押し出し」だから縁を整形できなかっただけと思われます。

で、望月氏がタミヤのキットを参考に作画していたろう証拠ですが、そのフロントフェンダーの縁取りが描かれてないことから、(少なくとも初期は)タミヤのキットをトレースしていたと考えられます。
描かれていないこと自体は漫画固有の省略とも考えられますが、ところが、フロントに縁取りがないのに、リアフェンダーだけはちゃんと縁取りが描かれている絵があるんです、このことから、明らかにタミヤのキットを参考にしていると思われます。


あとですね、タミヤのモデルはK0タイプと断定してますけど、まあ発売時期がK0の時ですから、当然K0なんですけども、(少なくとも私の持っている今のキットの)説明書にはモデルタイプは書かれてません。

また、私が作っているのは、タミヤの再販ノーマル版が入手できなかったので、東海モデルの限定版キャンディブルーなのですが、実は、元々、初期のタミヤのキットはこのキャンディブルーだったんですね、パッケージもブルーだったそうです。
 ただ実車のカラーでK1からブルーが廃止されたので、成形色もそれにあわせてゴールドになり、パッケージもゴールドになったというわけです。

他に、いずれ苦労するはずの(笑)記事で触れますが、チェーンが一体成形でダサいんですよね。
初期には組み立て式のチェーンが付属したキットがあったそうです。
なんでも最初は一体成形オンリーだったのが、社長の鶴の一声で付属したらしいですね、国内ではかなり昔から付属しなくなりましたが、海外輸出版には、割と近年まで付属していたみたいです。
 このパーツは今でもたまにヤフオクなどで高値で取引されてますが、組み立てた人によれば、「めっちゃ組み立てにくい」らしいです(笑)
チェーンは悩みどころで、一応、代替案も考えて工業用チェーン買ってあったりもするんですけど、なんか6月にタミヤから1/6の組み立てチェーンが発売になるみたいですね、それまで待つか悩みどころ。

てなわけで、今回はただの雑談でした。