だいぶん前に、モデラーに復帰してから、ちょくちょくと模型は作っていたとはいうものの、基本的にプラモか、ちょっとしたスクラッチしか作ってませんでした。
スクラッチや情景ベース制作は、それほど大規模なものではなかったので、久しぶりに
ポリパテを盛り盛りしてはゴリゴリゴリゴリ削る
という作業をやったら
うん、これは部屋でやるのは辛いわ
と思いました(笑)
すんごい粉ダラケ。

昔は、よく賃貸アパートでこんなことしてたもんですね(笑)
ごめんなさい、大家さん。

モデラーに復帰してから家を建てて、心おきなく模型を作り続ける予定だったので、実は部屋を設計するとき、モデリング用に模型専用机を置くスペースを考えて、広く部屋を設計したんですよ。
塗装のために部屋に埋め込み換気扇もちゃんと付けておいたんですよね。
一応、試行錯誤で現状に至った、自作塗装ブース3号もあるんですよ、粉吸いながら削ってるんですけどね。
でも、実際にやってみると、広いったって、模型机の横にPCあるもんですから、そらもう、埃かぶりまくりです(笑)
広くするんじゃなく、その広さを分割して
2畳ぐらいの作業専用ルーム作っておいたらよかったな
とか思いましたね(笑)


というわけで、その
ゴリゴリ削りの元、ワイルドオリジナル仕様のシート制作
です、なかなか試行錯誤していて、進みません。

その悩みの種のシート、前回書いたように、そもそも絵の大きな嘘があるので、実際に立体にすると後部の円錐形部品がボディと干渉して無理、という問題や、シート幅とフレームのバランスの問題がある。

実車で飛葉カスタムを作っておられる方は、半円錐状のパーツをつけて誤魔化しておられましたね。

その問題の解消も大変なのですけど、それとは別に、作る前から気になっていた点は何かというと

シートは、絵だとツルツルなんですね。
絵だといいけど、1/6の立体だとのっぺりしすぎて間延びして見えるんじゃないか
という点が懸念事項だったのです。

実車の飛葉カスタム写真を見たときも、非常に気になるポイントでした。

で、実際にツルツルの塊を作ってみたら、やっぱりちょっとなぁ・・・という感じがしました。
あまりにも、のぺーっとしすぎな感じです。

CIMG0068
△前回の途中写真。このままエッジを落として、つるつる状態で一度仕上げてたけど、なんか違和感がある。

写真だと、また印象が変わるので、前回の写真でもそんなに違和感がなかったかもしれませんが、少なくとも実物パーツを見た感じでは、かなり「のっぺりして間延びした」印象が強い。

そこで解決法として使えそうだったのが、望月氏の公認ファンサイト「月刊望月三起也」に掲載されていた、バイクの側面図です。
この側面図、相当に参考資料としてお世話になってます、お礼言いたいぐらいです(笑)

その図面には、シートの中央あたりあるベルト(なんていうんだか知りませんが元のCBにはついている)と、シート上部のカマボコ状のクッションが並んで描かれてまして、こんな風にアレンジしたらいけるかな、と。

でも、あんまりオリジナル解釈を入れるのもファンに怒られそうだなぁ、とか思ったりして、コミックのまま厳密に真似したほうがいいのかなぁ、でもなんか間延びしてるなぁ・・・みたいな、相当な葛藤があったんですが
まあ、悩んでも仕方ないので、とにかく一度、実際やってみるか、と。

頭で考えていても、立体になってみないと実際の感じがつかめないので、とりあえずいじってみよう、と。

あかんかったら、削って埋めて元に戻せばいいや、という気の長い姿勢で。


で、作ってみたのがコレ。
CIMG0008

一度、かなりのところまで仕上げたんですけどね。
いまいち、シートの厚みや角度が気にいらなかったので、前部あたりを削り込んで、モールドが半分無くなってる状態になってます。
円錐は仮止め中。

黒く見えてるのはキットのシート底面パーツで、その上にパテを盛って作ったんですが、パーツが出てきてることからも分かるように、ぎりぎりまで薄く削ってます。

CIMG0005

適当にのっけたもんで、いまいちズレてるけど、もうちょっとしっかりフレームと合うようになっています。
フレームとシートの合わせ具合、なんとかコレで解消している状態です。

で、重視したのは、あくまでも
オリジナルモールドによって、コミックのイメージを損なわないようにすることです。

上面にだけモールドをつける、というのは、側面とそれより低い視点で見たときは、シートがコミックのイメージと同じくツルツルに見えるようにするためですね。

もうひとつ、クッションを入れたのには理由がありまして、どうしてもいろんなイメージやバランス、物理的、両面の整合性から、ある程度シートに厚みが必要なのですが、あまりコミックのイメージは厚くないんですよね。
そこで、モールドを加えることで、クッション部分を少し持ち上げて、縁取りとなる部分をコンマ数ミリでも削り下げることで、側面から見たときの厚み感を抑えたい、という、苦肉の策なんです。

で、側面から見るとこんな感じ。

CIMG0003

ちょっとシートが置いただけなのでズレてます、すまんです。

この写真ではフェンダーがついてないからシートが載ってますが、フェンダーつけたら干渉します、その問題はまだ解消してません。

CIMG0006

コレコレ、個人的には飛葉ちゃんのバイクはこのアングルがめっちゃかっけーと思う。

こういうアングルのイメージはそのままで
モールドがあっても、コミックのイメージを損なっていないので、割といい感じ
と思うんだが、どうでしょうか?

どうでしょうか? ってアレですよ、前から書いてるように、元「ホビージャパン」編集長のIさんがワイルドファンなもので、メールで意見を聞きながら作ってるんですけど、ほとんど、そのIさんに向けて聞いてます、この文章は(笑)

まあ、こういうのは難しいとは思うんです。
いくらワイルドファン同士でも、趣味があわないところも当然あるとは思うし、自分の趣味の模型なので最終的には自分の好きに作るのがいいというのは正論ではあります。
ですが、それはそれとして、最初の記事に書いたとおり、ずーっと昔にHJで仕事をしていたとき、二人で「ワイルドのバイク作りたいねえ」という話をしていたのに端を発してますのでね。
昔、私たちがライターをやっていたころは、雑誌自体が非常に「ノリが良かった」というか、元気があったんですけど、そのひとつの要因は、編集さんがネタ出しやアイディア出しをして、それを形にする、なんてことが多かったためだと思います。
向こうからアイディアが出れば、こっちも「じゃあ、こうしたらどう?」みたいなことを考えるし、そうしてディスカッションすることで(まあそんな偉そうな単語ではなく、馬鹿話レベル、ですけどw)、面白いアイディアやネタが出てきて誌面のエネルギーに繋がっていたと思います。
そんな昔の「編集さんとモデラーのスタンス」みたいな感じで、編集さんの意見を取り入れつつやれたらいいというか、あまりに趣味が異ならないように、それなりのバランスが取れた落としどころに納められたらベストですね。


・・・ま、そんなこと言っても、とにかく時間がない上にトライ&エラーで何度もリテーク、作り直し、みたいに進めてますので、ホントに出来るのか、自信がないですけどね(笑)


ちなみに、この写真、変態カメラと名高いCASIO EXILIM FR10で撮影してますが、どうも接写すると、やたらパースがつくようで、ちょっと角度を変えるだけで、写真ではパーツのバランスが少し実物とは違って見えたりしてますので、そこんとこ、間引いて見てください。
ダウンロードダウンロード (1)
△ちなみにコレがその変態カメラ。レンズとモニタが分離し、自由に撮影できる。スマホからも操作できるのでレンズだけでも撮影可。自撮り棒につけて撮影したり、色々アイディア豊富。


でね、実は、ここで少し疑問を持ってたのです。
そもそも、図面はゴリゴリのファンさんたちのつどうサイトでファンさんが仕上げたものです。
ファンってのはディテールにこだわるもので、そんなに根拠もなく、自分勝手にオリジナルアレンジを施しているだろうか? と。
もしかして、元になったネタがあるんじゃないかと。

まあアレですよ、望月先生自身がいいかげんんなので毎回絵が違うから、ディテールにはこだわってもしょうがないんですが(笑) もしも元絵にあれば、立体で作っても言い訳ができるからありがたい、ってわけですね(笑)

そこで、あらためてちょっとコミックスや資料を調べてみましたところ

CCF20170618_0002
△はっけーんてきのきち♪ ではなく発見!! ベルト。なんだよ、描かれてんじゃん。
CCF20170618
△はい、ここにも。実際に見直してみたら、初期の巻から、ずいぶんたくさん描かれてるよう。

CCF20170618_0001
△こちらはもっと出現頻度が少ないが、シートクッションらしきものも、希に描かれてる。

Hobby Japan-024
△っていうか、よく見たら一番最初に載せたこの絵にもベルトらしきものが描いてあった。ところでこの絵、オヤブンの後ろにいるの誰なんだ? 

img003
△こんなヤツとかにも。割と頻出してることに今頃気づいた今日この頃。

はい、実はシートのベルト、望月先生が描かれた、作画用のデザイン画にも、ちゃんと描かれているんですよね。
だんだん、長年描いているうちに、よく省略されてきたようですが、最初のほうの巻から、ずいぶんたくさん描かれてました。

クッションも時々は描かれてました。
まあ描いてるのは望月先生じゃなく、アシスタントだと思いますが、推測するに、CBはタミヤのプラモを参考に作画されてますが、シートはオリジナル形状ですので、そこだけは模型がなくて想像で描いてるんですよね。
そこで、ちょくちょく、参考にしたタミヤ(実車)のシートのクッション的なディテールが混ざってしまったんではなかろうかと(笑)

あと、シートの下部にふちどりをつけたかったんですが、絵ではつるつるだなぁ、と思っていたら、あらためて見直したら、ふちどりがついている絵も結構たくさんありました。

コミックはそれこそ、小学生の時から40数年間、100回や200回じゃ効かないぐらい繰り返し読んでますけれど、普段はそんなディテールを意識して読んでいるわけじゃないので、こうやって調べると、意外と新たな発見があったりしますね。