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元プロモデラー・もこもこフジタの、やっつけ模型ブログ

カテゴリ:特撮・SF系 > POLAR LIGHTS CORNELIUS ポーラライツ 猿の惑星 コーネリアス

えーと、CB750のとこで、いいかげん、作りかけの模型がいっぱいあるので、一気に仕上げてしまいました、みたいな話を書きましたが、そのアレですw

てわけで、POLAR LIGHTSのコーネリアス完成体です。
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実際に作ったのは、ずーと前です、ほぼ去年ですね。
おかげで、写真撮ったら
えらく埃をかぶってて
困りましたよ(笑)

埃ぐらいはたけって? いやもっともですな。
いやね、一応はたいたつもりなんですけどね、写真見たら全然取れてませんでしたのよ(笑)


あ、そうそう、前回、衣装の話をちょっと書きましたが、補足しておきますと、そもそも、このキット、映画にはあまり似てません(笑)
分かりやすく言うと
「ん~、確かこんな感じだったな」と、映画を見た記憶で作ったみたいな感じです。
明らかにディテールが異なる部分がたくさんありますし、そもそも、映画では上着はこんな体にフィットするトレーナーみたいな感じではなく、もっとダフっとした感じで、上着の袖が短く太く、そこから下に着ている服の袖が覗いてる感じです。

あと、前回、ポンチョのような部分の大きさについて触れましたが、あとからDVDや資料写真を探してみると、結構、マチマチなようです。
明らかに場面によって素材や形状が異なるものがあるようでした。
衣装は破損や汚れをなどを考慮して何着も作るのは当然ですが、通常は同じ型から作るのでそう変わらないはずなんですが、結構違って見えるところをみると、推測なんですが、ロケ場所にあわせたりで、薄いタイプとか厚いタイプとか作ったんじゃないでしょうかね?


さて、前回、改造箇所を書きましたが、改造さえ済んでしまえば、あと塗るだけです。
人形は顔が命です。
ということで、今回は、私の人生では何十年ぶりかで、オイルペイント(油彩)で塗装してみました。
ずーっとメカモデラーになってましたけど、昔、雑誌にも書いたことあるんですが、私、元々フィギュア作ってましたからね。


顔は、人によって塗り方は色々あるでしょうが、私の場合は、ベース色をプラモの塗料で吹いた後、オイルペイントでハイライトやシャドウをつけていきます。
ハイライトやシャドウの色を載せて、ブレンドしていく感じで、基本、塗るというより、「絵を描く」ような感覚で塗っていくのがコツです。

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▲ベースは模型塗料で塗る。表面がゴミだらけなのは、一度塗り直しをしたからで、これは塗装落としに失敗してるときの写真ですなw

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▲ピンボケごめん。ざーっとスミ入れのようにシャドウの色を薄めて塗り・・・

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▲綿棒などで拭き取ってやる。その後、皺やシャドウを描き込んでいく。

特に、髪の毛はまだしも、手足の毛などのディテールはものすごいぞんざいです。
ディテールを修正してもよかったんですが、以前書いたように、オーロラのキットはそれ自体が「作品」なので、なるべくそのまま素材を生かすことに意味があると思うので、あえてそのままにしてます。
そのぶん、筆で描くようにして、毛の質感を出してやります。
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▲ちょっと写真の色調がおかしくなったけど、手足も同じように塗る。猿だから毛が生えているので、筆で描くように何色か重ねて塗ってやる。特に手足の毛のモールドは実にぞんざいなので、描くというより、のせるカンジで筆の跡をつけて毛らしく。

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▲油彩はそれ自体が厚塗りできるので、頭髪もたっぷり油彩を塗って、筆の跡が毛に見えるように塗っていく。よくペイントナイフの跡がそのまま立体になってる油絵があるが、あんなカンジで。毛のモールドは若干入れ直しているのと、キットだと毛先の先っぽがツライチなので、ギザギザに切り込んでいる。

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▲で、全体塗ったのがこんなカンジ。塗るというよりも、立体キャンバスに描く感じ。鼻の穴の穴開けや耳のディテール、毛先など一部改造修正している。

一応、若い頃は美術系で油絵を描いていたので、それなりに扱いには慣れてたはずなんですが、なにせ、もう何十年も昔の話なんで、すっかり忘れてる道具もあったりしました
忘れてるというか
記憶の中の名称と用途が一致しないんですよ(笑)
そういえば今ふと思い出したけど、若い頃に「ザブングル」の油絵描いたことがあったなぁ(笑)

油彩は、とにかく乾きません。
ひたすら自然乾燥を待つ手や、促進剤を使う手もあるんですが、根気のない私は、つや消しスプレー吹きました。
基本、スプレーでコートすると、触っても大丈夫です。

いや、しかし、このキット、そんなに似てないんですけど、塗ると、実に、すんごい「猿~~!!!」って顔してますよね
それも、ちゃんとコーネリアスなんだよね。
猿って、あまりに猿的要素(なんじゃそら)が強烈に主張しすぎて、誰を作っても同じように見えそうな気がするんですけど、ちゃんとコーネリアスに見えるって、案外凄いんじゃないかと。
このシリーズは全部顔が演じた俳優に似てますよ。
このへんは、さすがですね。
いや、さっき似てないって言ったじゃん? 
つまり、なんつーのかな、頭のアウトラインとか顔の縦横のバランスとかが実際の俳優とは全然違うんですよ、似てないの。
なのに、顔そのものは、なぜかちゃんとコーネリアスに見えるということですね。


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▲前回までに書いたとおり、プロポーションがかなりアレなキットなので、素材をなるべく生かしつつ徹底改造。大幅改造箇所は、まず肩幅を減らして肘の角度を変え、手の向きも変更。足の長さを延長。あと、実際の俳優が演じているコーネリアスは違うけど、「猿のイメージ」を強調する意味で、ちょっと顔を前に突き出したような位置にズラしてある(猿の骨格は肩の前に顔がついているようなバランスである)。
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▲改造箇所はキットの素組み写真と比べると一目瞭然だろう。壊れた柱は逆向けにつけてみた。胴体はエアブラシで陰影をつけてある。

以前の伝説の模型メーカー オーロラの記事にも書きましたけど、このシリーズの凄いところのひとつは、イメージモデルだということなんですよね。
って書いて、前回の記事を見たら、同じこと書いてますね。
言ってることがボケ老人並ですw

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▲ベースはたいていグレーに塗られてますが、これは銀行の建物ですかね? 大理石調のイメージだったので、黄色っぽい大理石のカンジで塗ってみました。ガレキの上のなんかダレてるっぽい謎の物体は、白にしましたが、これは雪じゃなく鍾乳石が付着したイメージです。
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▲あまり知られていませんが、「猿の惑星」にはテレビシリーズもあったんですよね(アニメもある)。不人気でワンシーズンで終わったと思います。いまだにちゃんと日本ではソフトが出ない不遇なシリーズです。そのへんのシリーズのイメージも含め、文明が崩壊して長い年月が経っており、基本、人間文化は地下に埋もれてる印象ですので、鍾乳石とか塗ってみました。
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▲一応、屋内って設定かなと思うんだけど、長年の風化で埃や土、草が生えてると想定して、パウダーを撒いてみました。
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▲記憶では、テレビシリーズに埋もれた地下鉄の駅が出てきた覚えがあり、こんな風に駅名の看板が埋もれてた印象です。このキットはその記憶の印象に近いんですよね。


▲くだんのテレビシリーズの動画。コーネリアスを演じたロディさんのみ、そのままテレビにも出演してる。シリーズ最多出演俳優なのだ。英語版ならYoutubeで本編も見られる。

前の記事でも書いたけど、この歳になると
こんなペースじゃ、死ぬまでに、持ってる模型、全部作れねーじゃん!
とか思うんで、とにかく、一個出来ると嬉しいですねw

割と顔とかいいカンジに出来たと思うんだけど、どうでしょう。
それと、作ってから気づいたけど
ジーラを作るときのために、混色した塗料とか多く作って残しておくべきだったよなw
こりゃ、大失敗!

お蔵だし、作りかけ模型レポートシリーズ(今命名)(笑)

今回は、ポーラライツからオーロラブランドで再販されている、猿の惑星シリーズです。
半年ぐらい作業が止まってます。

以前に書いたように、このキットは元々アダーという会社の製品のようですが、なぜかオーロラブランドで売られ、現在は、世界的にオーロラの製品として認知されるに至っています。
その出自には、いまだに謎が多くあるのですが、模型本体とは関係ないので、便宜上、以後は、このキットを「オーロラの製品」とみなして説明します。


さて、元ネタの映画のほうは、もう説明するまでもありませんね、SF映画の金字塔「猿の惑星」です。
その衝撃的なラストシーンは、私も子供心に度肝を抜かれまして、シリーズは結局5部作となり、飽きる程見たものです。
あまり知られていませんが、その知名度から、テレビドラマ(あまりデキはよくなかったです)やアニメにもなっています。

近年も、リメイクシリーズが作られており、現在も継続中ですが、ぶっちゃけ私は、あのシリーズはあんまり感心はしません。

個人的には、ティム・バートン監督のリ・イマジネーション版が傑作だと思ってます、やっぱり猿は俳優が演じないとね。

ちょっとだけ映画に触れておくと、このコーネリアスを演じたロディ・マクドウォールは、「フライトナイト」のビンセント役でもお馴染みの俳優ですが、シリーズ最多の4作(とテレビシリーズにも)に出演しています。
後期2作は、コーネリアスは出演しませんので、コーネリアスの子供の猿のリーダー・シーザー役です。

猿の惑星の素晴らしいところは、なんといっても、見ているうちに、猿のキャラクターに感情移入して魅力を感じていくところでしょうが、その魅力は、この人(とジーラ)の演技に負うところが大きいと思います。
特に1作目は秀逸で、コーネリアスとジーラのキャラクターが、人間に同情的ではありながらも、学術視点を崩ないところです。
2人は、これまで長年人間という「原始的な動物」を研究してきたのですから、そう簡単に手放しで人間を受け入れる話になっていたら、あまりにもご都合主義に過ぎます。
そこを一定の距離感を保ち、ある意味「上から目線」がなかなか抜けないながらも、少しずつ心を許して好意を持っていくところが、リアリティがあったのです。
人間に対する態度が極端に差別的で嫌みを感じるほどではなく、かといって完全に同目線でもなく、我々人間の視聴者も猿に共感できる程度には良い人物だという、そのへんのバランスが素晴らしいと思います。
その素晴らしさは、やはりコーネリアスの演技(とクライマックスだけ登場する甥っ子もいい役割です)によるところが大きいと思いますし、その後の続編での様々な役どころも素晴らしいですね。

早い話、コーネリアス(というかマクドウォール)はシリーズ屈指の魅力的なキャラクターだということで、映画で魅力的なキャラクターというのは、当然訴求力が強いわけで、模型としても魅力的だということです。



さて、キットの話に移りますが、以前も触れたとおり、このシリーズ、我々オーロラファンは、ひいき目で見て悪いところに目をつぶってしまいそうになるんですが、正直に言うと、お世辞にもデキがいいとは言いにくいです。

全体を見ると、オーロラテイスト溢れる情景模型なので、雰囲気は素晴らしいのです。
ベースも、シンプルなパーツ構成で、見事にそれらしい雰囲気を出しているあたりもステキです。
パーツの合いも、半世紀近く前のキットとは思えないほど、よく合います。
ぶっちゃけ、以前作った最近のキット「怪獣ゴルゴ」のほうが、遙かに合いませんでしたW

以前述べたように、最近の模型感覚だと、こういう模型は、ほとんど「映画のあの場面」を再現したものになるのが通例ですが、実はオーロラのキットの素晴らしさのひとつは、どれも映画にない「イメージモデル」であることだと思います。
映画を知っている誰もが違和感を感じない、まさにキャラクターのイメージを集約したようによく捉えた情景でありながら、よく考えると、映画にそんなシーンは無いんですよね。
このキットも、コーネリアスは人間の文化を研究していて廃墟を探索している、という設定から出来ているイメージモデルで、映画にこんなシーンは一切ありません。
が、まぎれもなく、映画を知る人なら、このキットを見て「ああ、コーネリアスだなぁ」と思うでしょう。

とまあ、情景そのものは素晴らしいのですが、いかんせん、肝心のフィギュアのデキが、かなりアレなのです。

何がアレなのかというと、ディテールそのものはやはり素晴らしく、顔など、いじるところがないぐらい良いですが、ポージングが極めつけダサいのです。
そして、どう見ても、体のバランスがおかしいのですね。
この猿の惑星シリーズのキット全部が、それなりにおかしく、どれもこれも、頭でかすぎ、ポーズがダサかったりするのですが、中でも特に、このコーネリアスが、体のバランスがズバ抜けて変です。

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はい、写真を見て頂ければ、「妙」なのがすぐ分かると思います。

一言でおかしな点をいえば
頭がでかく、肩幅が広い、それに対して下半身が貧弱すぎる
という点です。
言い換えると
胴体全体に対して、肩幅だけが異様に広すぎる
んですね。

その妙な形になった要因を突き詰めると、どうも「腕を回せるように設計した」せいではないかと思います。
パッケージアートを見ても分かりますが、本来、コーネリアスは、ポンチョのような服が肩にかぶさってるんですよ。
でも、腕を回すには腕と胴体の接合面が平らじゃなきゃいけないわけで、ポンチョの端が肩にかぶさっていると、干渉して腕が回らなくなります。
そのため、キットでは、ポンチョの端よりも、肩の接合面の平らな面を外側に出すようにしてある。
そのぶん、肩幅が広くなってしまっている上に、腕のパーツの方も妙に肩がでっぱってるので、組み上げると、やたら肩幅が広るわけですね、こういうの昔の可動オモチャにはよくあったバランスです。

でもね、コレ、もうちょっと突っ込むと、そもそも、このポンチョみたいな部分、映画の衣装だと、こんなに幅大きくないんですよねw
なんか、無意味にポンチョを大きくして、そのせいで肩幅がおかしくなってるという、本末転倒とでもいうか、変な欠点ですね。

しかも、疑問を感じるのは、これだけフルディスプレイのキットでありながら、あえて腕だけ回せるようにする必要があったのか、という点ですね。
別に脚とか手とか動かないし、肩だけ動いても、ものすごく無意味っぽい気がしますが、このシリーズは全部こういう設計です。

オーロラのキットには、ポージングなどが「イマイチ」なキットも多くありますが、それでも、なんというか「ヘタウマなマンガ」のように、独特の個性、味わいがあると思ってます。
その味わいこそ
わざわざ、半世紀近くも前のメーカーのキットを今、作る意味、楽しみ
だと思っています。

オーロラのキットは、単なる模型というより、芸術と同じように
オーロラの作品
ですから
味わいを壊さないように、あまり大きく手を入れる改造はするべきではない
というのが、私のオーロラのキットに対する基本スタンスなんですが、さすがにこのプロポーションは見ていてキツいので、直すことにしました。

一方で、このシリーズ、顔は
明らかにでかいツラしてます
ええ、比喩的ではなく、普通に物理的な意味でw

が、顔の形自体は異様にデキがいいですね。
そもそもが
猿の顔って似せるの難しいんじゃないか
と思うんですけど、ただでさえ、個性を出しにくい猿顔なのに、演じたロディ・マクドウォールの雰囲気にクリソツです、このあたりはやはり凄いです、ただし
でかいツラですがW
まあ、もちっと突っ込むと髪型もちょっと違いますけどね。

パッケージ絵に至っては
誰だこのゴリラは
みたいな感じですw

肩幅を狭める改造をすると、ただでさえでかい顔が、余計でかく見えるようになってしまいますが、さすがに顔に合わせて胴体全部を大きくするのは無理だし、逆に顔を小さくするのも難しいので
でかいツラ
は我慢することにします。

いや、元々が素顔の上に猿メイクですから、映画見てるときは意識してなかったけど、もしかして映画でも顔でかかったかなぁ? と思ってDVDを見直してみましたが、そんなことなかったです(笑)
このキットの顔のでかさを見てから、資料的に映画の写真を見ると、特殊メイクの猿顔が小さいことに結構驚かされます。
あの当時は素材も発達してなくて特殊メイクは厚めだったはずですし、「ゴムみたいだった」という証言もあります。
おまけに猿の植毛までしてるから、大きく見えて当然と思っていたのですが、意外なほど顔が小さいですね。


さて、そんなこんなでキットの改造ですが、以前、ファイル破損で画像が失われた事件があり、いっしょにこのキットの改造写真も失われてしまいました(T.T)
そんな事情で、いきなりサフ吹きした状態まで進んでしまいます。

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頭は肩にジェンガよろしくのっけてるだけの状態ですので、ちょっと浮いてます。

改造ポイントですが、肩の接合部を切り落として幅つめ。
ポンチョの端が肩より出るようになるまで幅つめしてます。
同時に、腕パーツの肩側もできるだけ削り、肩幅が異様に広いのを修正。
腕の角度もダサいので、肘から切り落とし、曲げ方を変えて再度接着。
手は腕と一体整形ですが、向きを変えたいので切り落としてあります。

脚は短すぎるので、途中で切断し、プラ板を挟んで延長し、2ミリ伸ばしてあります。
各部のモールドは甘いので、凹部などを彫り込んであります。

あと、写真では見えませんが、股間のところというか、胴体に脚が繋がっている部分、胴体側がキットのままでは抜きの都合で平らなんですが、本来はスカートのような形状ですから脚にかぶさってないとおかしいので、ある程度、彫り込んでやってます。

顔はあまりいじってませんが、毛のモールドを一部彫り直しているのと、毛先がツライチで毛っぽくないので、ぎざぎざに彫り込んであります。

かなり大幅な改造になっちゃいましたが、いかがでしょう?
素組み写真と比べると、ずっと良くなってると思います。

ってわけで、今回はここまでにしておきます。

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